認知症の4割は予防できる?東海大学の最新研究が示す2つのポイント
認知症の約4割は、生活習慣の改善などで予防できる可能性がある——。
東海大学とデンマーク・コペンハーゲン大学の国際共同研究チームが、2026年1月に発表した研究でこのような結果が明らかになりました。
特に日本人では「耳の聞こえ(難聴)」と「運動不足」への対策が重要とされています。
認知症とは?
認知症は、脳の働きが低下することで日常生活に支障が出る病気です。
「さっき食べたことを忘れる」「今日の日付や今いる場所が分からなくなる」「料理や買い物など、これまでできていたことが難しくなる」といった症状が現れます。
年齢のせいと見過ごされがちですが、脳の機能が低下する病気であり、本人だけでなく家族の生活にも大きな影響を与えます。
日本の認知症の現状
厚生労働省の推計によると、2022年の時点で、65歳以上の高齢者のうち約8人に1人が認知症を発症しています。
また、2050年には約587万人、高齢者の約6〜7人に1人にまで増加すると予測されています。
さらに、認知症の前段階である「軽度認知障害(MCI)」を含めると、高齢者の約4人に1人が該当します。
認知症は、決して他人事ではありません。
東海大学による認知症予防の最新研究
東海大学医学部の和佐野浩一郎教授と、コペンハーゲン大学認知症センターのカスパー・ヨーゲンセン上席研究員による国際共同研究によって最新の認知症予防研究が行われました。
国民健康・栄養調査などの日本人データを用いて、認知症の発症に関わる14の危険因子を分析しています。
分析対象とした14の危険因子
研究の結果、これら14の因子すべてに対策を講じれば、日本の認知症の約4割(38.9%)は予防できる可能性があることが分かりました。
日本人への影響が大きい因子TOP5
| 順位 | 危険因子 | 影響度 |
|---|---|---|
| 1位 | 難聴(耳の聞こえの低下) | 6.7% |
| 2位 | 運動不足 | 6.0% |
| 3位 | コレステロールが高い | 4.5% |
| 4位 | 人付き合いが少ない(社会的孤立) | 3.5% |
| 5位 | 糖尿病 | 3.0% |
※影響度=その因子が認知症発症に占める割合
日本人では「難聴」と「運動不足」の影響が特に大きいことが特徴です。
耳の健康を守ることと、日常的に体を動かすことが、認知症予防において特に重要といえます。
予防でどれくらい変わる?
すべての危険因子を完全になくすことは現実的ではありません。
しかし、この研究では「少し減らすだけ」でも大きな効果があることが示されました。
具体的には、社会全体でリスク要因を10%減らすことができれば、将来的に約20万人の認知症発症を防げる可能性があります。
20%減らせれば、その数は約40万人にのぼります。
2050年には認知症患者が約587万人に達すると推計されていることを考えると、20%のリスク低減が実現すれば、そのうち約1割弱を減らせる計算になります。
研究を行った和佐野教授は「遺伝や加齢は治せないが、今回のリスク要因は社会として減らすことができる。有効な対策を考えていくことが必要だ」とコメントしています。
個人の努力だけでなく、社会全体で取り組むことの重要性が示された研究といえます。
まとめ
認知症は「防げる部分がある」——これは大きな希望です。
耳の聞こえに不安があれば早めに対処する、毎日少しでも体を動かす、人との交流を大切にする。特別なことではなく、日々の生活習慣の積み重ねが、将来の認知症リスクを下げることにつながります。
この記事が、今日からできることを少しずつ始めてみるキッカケになれば幸いです。
参考情報
認知症の4割が予防できる可能性 難聴など改善で – CBnews
認知症の4割「予防可能」難聴、運動不足などリスク改善で – 毎日新聞
認知症およびMCIの高齢者数と有病率の将来推計 – 厚生労働省
Dementia prevention, intervention, and care: 2024 report – The Lancet
